第35章 【第三十話】紅い雪の降る海
まるで、タイムレコードを守るように。
「ラビ!!」
「分かってるさ!!」
ラビが鉄槌を振り上げる。
「木判――雷霆回天!!天判!!」
轟雷。
雷光が、雲を裂いた。
けれど。
敵には届かない。
姿が見えない。
その時だった。
ぐらり。
船が、大きく傾いた。
「……え?」
海水が、後方甲板へ流れ込んでくる。
船尾から、沈んでいる。
「なっ!?」
ラビが顔を歪めた。
「どうして!?[[rb:時間回復 > リカバリー]]はまだ作動してるのに!」
ミランダが時計盤を見る。
そして、凍り付いた。
タイムレコードの中心へ、黒い鎖のようなものが巻き付いていた。
「な、何……これ……?」
タイムレコードの光が揺らぐ。
船尾が、さらに沈む。
その一方で、クロウリーは青ざめた顔で膝をついていた。
「AKUMAの血が……足りなくなってきたのである……」
ラビが振り返る。
「しっかりしろ、クロちゃん!!くそっ、しつこく撃ってきやが――っ」
その時、マストへ移ろうとしたラビの身体が、大きく揺れた。
足場が傾き、わずかに足を滑らせた。
そこへ、雲の向こうから飛来したAKUMAの弾丸が直撃する。
「がっ!!」
「ラビ!!」
クロウリーが叫んだ。
ラビの身体が、海へ落ちる。
「ラビ!!」
ティファは叫びかけた。
けれど、ミランダの前から動けない。
水面へ落ちたラビの身体に、黒いペンタクルが浮かび上がり始める。
AKUMAのウイルス。
だが、次の瞬間。
クロウリーが海へ飛び込んだ。
「クロウリー!?」
水飛沫が上がる。
クロウリーは沈みかけたラビへ食らいつくように近付き、その首元へ牙を立てた。
「っ……!」