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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第35章 【第三十話】紅い雪の降る海



その声に、真っ先に動いたのはキエとマオサだった。

「チャオジー、下がれ!」
「ぼさっとするな、こっちだ!」

「で、でも――!」

まだ若い船員が、倒れた仲間を振り返る。

チャオジー。

その腕を、キエが強く引いた。


「今は、生きてる奴を守るんだ!」

マオサも怯えた船員を支え、光膜の内側へ駆け込んでくる。


「急げ!また来るぞ!」

雲の奥が、赤黒く光った。

次の砲撃が来る。

ティファは奥歯を噛み締め、レイピアを握る手に力を込めた。

轟音。

再びAKUMAの弾が光膜へ叩き込まれる。


「……っ!」

膝が折れそうになる。
腕が痺れる。

けれど、退かなかった。


けれど、その時。

光膜の端を、赤黒い弾丸が一つだけ掠めた。


「しまっ――」

ティファが反応するより早く、弾丸はミランダ達の方へ落ちていく。


「ミランダさん!」

チャオジーが青ざめる。

キエとマオサが咄嗟に彼を引き戻そうとした。

その瞬間。

すでにAKUMA弾を受けていた船員の一人が、前へ出た。

タイムレコードの中にいるから、まだ動けているだけ。

そのことを、本人も分かっているようだった。


次の瞬間、彼はミランダとチャオジー達の上へ覆いかぶさった。

赤黒い弾丸が、その背へ直撃する。


「っ……!」

声にならない呻きが漏れた。

ミランダが目を見開く。


「いや……っ!」

チャオジーも息を呑んだまま、動けなかった。


「何してんすか、先輩……!」

船員は苦しそうに笑った。


「……どうせ、俺はもう手遅れだ」

震える声。


「なら、最後まで生きてる奴を守るさ」

ティファの胸が、痛いほど締め付けられた。
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