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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第35章 【第三十話】紅い雪の降る海



アニタが即座に被せた。


「今のティファちゃん、完全に恋する女の顔だったわ」

「っ……!」

顔が熱い。

ティファは思わず両手で顔を覆った。

リナリーが小さく吹き出す。

さっきまで泣いていたのが嘘みたいに、柔らかい笑い声だった。

その時だった。

こんこん、と扉が鳴る。


「……入るぞー」

ラビの声。


「っ!?」

ティファは反射的に姿勢を正した。

アニタが面白そうに目を細める。


「噂をすれば、だねぇ」

扉が開く。

そして。

ラビが、ぴたりと止まった。


「…………」


数秒。

無言。

片方だけ覗く翠の瞳が、ティファを見たまま動かない。


「何、その顔」

ラビの視線が、ティファのシニョンと銀簪へ止まる。

それから。

ゆっくり瞬きをした。


「……いや」

珍しく、言葉が遅い。


「心臓に悪ぃ」
「ラビ」

「ごめん」

リナリーが吹き出す。

アニタは完全に楽しんでいた。

ラビは頭を掻きながら、困ったように笑う。


「いや、ほんと。いつもの感じで部屋入ったから、反則だったんさ……」
「大袈裟よ」

「大袈裟じゃねぇって」

ぼそっと返す。

その声が妙に真剣で、余計に困る。

ティファは視線を逸らした。


その時。

ラビがふと、リナリーを見る。

金の髪飾り。
整えられたツインテール。

そして、少しだけ戻った表情。

ラビの目が、ほんの少し柔らかくなった。


「……似合ってんじゃん」

リナリーが小さく目を瞬かせる。


「え?」
「その髪」

ラビが軽く笑った。

「ちゃんと、いつものリナリー戻ってきた感じするさ」
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