第35章 【第三十話】紅い雪の降る海
横では、リナリーも静かに新しい団服へ着替えている。
ふと、リナリーが小さく眉を下げた。
「……髪留め、ない」
「あら。戦闘で失くしたのね」
アニタがやわらかく笑う。
「私の、貸してあげるわ」
リナリーがほっとしたように頭を下げた。
その時、アニタの視線がティファへ向く。
「ティファちゃん、貴方も髪をまとめる?」
「え?」
銀髪が肩から滑り落ちる。
アニタは面白そうに目を細めた。
「その長さなら絶対映えるわ」
ティファは少し迷ったあと、小さく肩を竦める。
「……じゃあ、お願いします」
「任せて」
アニタが笑う。
ティファは椅子へ腰掛けた。
慣れた指先が、銀髪を丁寧に梳いていく。
櫛が通るたび、さらさらと髪が揺れた。
やがて髪は低い位置で綺麗に纏められ、上品なシニョンが形作られていく。
そこへアニタが、細工の施された銀簪を静かに差し込んだ。
「はい、出来上がり」
鏡を見る。
低い位置で纏められた銀髪が首筋を細く見せ、銀簪が静かに揺れていた。
以前より少しだけ、大人びて見える。
リナリーが目を丸くした。
「ティファ、すごく綺麗……」
「おやおや」
アニタが微笑む。
「恋人が見たら惚れ直すわね」
「……やめてください」
思わず顔が熱くなる。
その反応に、リナリーが小さく笑った。
その笑顔を見て、アニタも少しだけ目を細める。