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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第34章 【第二十九話】白光の行方



ラビだった。

拳で、窓硝子を叩き割っていた。

砕けた破片が床へ散る。
潮風が吹き込む。

ラビの肩が、激しく上下している。

片方だけ覗く翠の瞳が、痛いほど鋭く揺れていた。


「……いいかげんにしろよ」

低い声。


けれど、その声は怒鳴る寸前みたいに震えていた。

リナリーがびくりと肩を揺らす。

ラビは続けた。


「仕方なかったんさ!」

声が荒くなる。


「オレらは昨日、必死に戦った!」

拳から血が滴る。

それでも気付いていないみたいに、ラビは叫んだ。


「どうしても助けられなかったんだよ!!」

空気が張り裂ける。


「戦争なんさ!!」

苦しそうな声。


「しょうがねぇだろ!!」

「諦めて立てよ!!」

沈黙。

誰も動けない。


リナリーは顔を上げない。

ただ。

ぽたり、と静かに涙を落とした。

床へ小さな染みが広がる。


その姿を見た瞬間。

ティファは息を呑んだ。

ラビもまた、はっとしたみたいに目を見開く。

言い過ぎた。

そう気付いた顔だった。


けれど、もう遅い。

リナリーは俯いたまま、静かに涙を流し続けていた。

その涙があまりにも静かで。

逆に、見ている方が苦しくなった。

クロウリーが、おろおろしながらラビを見る。


「泣かせたのである……」

ティファも思わずラビを見た。


「ラビ……」
「いや、だって……!」

ラビが苛立ったように頭を掻く。


「分かってるさ!」

けれどその声も、どこか苦しそうだった。

その時。

ぬっ、と後ろから細い手が伸びる。


「いっっっっだぁ!?」

突然、ラビの耳がぐいっと引っ張られた。


「な、何すんさ、じじい!?」

ブックマンだった。

彼は無表情のまま、ラビの耳を掴み、自分の方へ強引に引き寄せる。


「ちょ、痛っ、耳取れる!!」
「黙っとれ」

低い声。

そのままブックマンは、周囲には聞こえないほど小さな声で、ラビの耳元へ囁いた。
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