第34章 【第二十九話】白光の行方
けれどミランダ本人は、皆の沈黙を完全に勘違いしたらしい。
「ひっ……」
顔色が真っ青になる。
「や、やっぱり……新人が出しゃばってるって思いましたよね……!?」
「え?」
「す、すみませんすみませんすみません!!」
次の瞬間。
彼女は勢いよく後退った。
足を滑らせる。
「あっ」
ざばぁんっ!!
そのまま海へ落ちた。
数秒。
沈黙。
「…………」
「…………」
クロウリーが真っ青になる。
「お、溺れてるのである!!」
確かに。
ミランダが海面で必死にもがいていた。
ラビが盛大に顔をしかめる。
「何やってんだあの人……」
その時だった。
「ラビ」
低い声。
ブックマンだった。
顎で海を示す。
「お前が行け」
「はぁ!?」
「若いんだから泳げるだろ」
「理由雑すぎんだろっ!」
文句を言いながらも、ラビは上着を脱ぎ捨てた。
そして。
ざばんっ!!
海へ飛び込む。
「ぎゃあああ冷たぁぁい!!」
「うるせぇ!!」
暴れるミランダを、ラビが半ば引きずるように回収していく。
その様子を見て、ティファはほんの少しだけ息を吐いた。
張り詰めていた空気が、僅かに緩む。
それでも。
胸の奥の不安だけは、消えなかった。
しばらく後。
修復された船は、再び静かな海を進み始めていた。
けれど船内の空気は重い。
誰も大きな声を出さない。
戦闘の傷は消えても、残ったものは消えていなかった。
船室へ続く階段の、下から二段目。
そこに、リナリーはひとり座り込んでいた。
ただ床を見つめている。
何も映っていないみたいな瞳。
時折、肩だけが小さく震えた。
ティファは少し離れた場所から、その姿を見つめていた。
声を掛けたい。
でも、何を言えばいいのか分からない。
船内へ、波音だけが響いている。
その時だった。
バリンッ!!
突然、凄まじい音が響いた。
「っ!?」
全員が振り返る。