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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第34章 【第二十九話】白光の行方



「私が、アレン君の傍を離れたから……」
「リナリー、それは違ぇ」

ラビの声が少し強くなる。


けれど、リナリーは首を横へ振るだけだった。


「でも……私が戻った時には、もう……」

その先は、声にならなかった。

ティファの喉が詰まる。


「もう、って……」

ラビは一度、強く目を伏せた。

それから、言葉を絞り出すように続ける。


「ノアが現れた」

その場の空気が、さらに重く沈んだ。

ブックマンの目が細くなる。


「ノアだと?」
「ああ」

ラビの手が、きつく大槌小槌を握る。


「そいつが……アレンの身体を貫いた」


音が消えた。
波音も。
風の音も。

何もかもが、遠くなった。

ティファは目を見開いたまま、動けなかった。


「それから」

ラビの声が、少しだけ震えた。


「アレンのイノセンスが、壊された」

リナリーが両手で顔を覆う。


「私が……離れなければ……」
「リナリー」

ティファは震える声で名を呼んだ。


けれど、何を言えばいいのか分からなかった。

責める言葉など、あるはずがない。
慰めの言葉も見つからない。


その時、甲板の上を小さな影がふらふらと飛んできた。

ティムキャンピーだった。

金色のゴーレムは、いつものように軽やかではなかった。

どこか弱々しく、ラビの肩へ止まる。


「ティム……」

ティファが呟く。

ティムキャンピーは小さく羽を震わせた。

そして、口を開くように、身体の奥から淡い光を零した。


「……見せる気か」

ラビが低く言った。

その声には、すでに一度見た者の痛みが滲んでいた。

リナリーは顔を背ける。

それでも、逃げなかった。

淡い光が甲板へ広がる。

そこに、映像が浮かび上がった。

荒れた大地。
咎落ちとなったスーマン。
崩れていく身体。

必死に手を伸ばすアレン。

ティファは息を呑んだ。

映像の中のアレンは、傷だらけだった。
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