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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第34章 【第二十九話】白光の行方



壊れた帆。
傷付いた船員達。

まだ完全には消えていないAKUMAの残骸。

アニタもマホジャも、気を抜かず周囲を警戒している。

その後ろで、ブックマンが静かに口を開いた。


「ティファ嬢」

低い声。

ティファは振り返る。


「今、この船で混乱を鎮められるのはお前さんだ」

胸の奥が、痛いほど跳ねた。


セトラの歌。

恐怖で乱れた船員達の心を、落ち着かせることができるのは確かにティファだけだった。

分かっている。
分かっているのに。

空の向こうで、アレンの光が消えかけている気がした。

ラビの手が、ティファの肩を強く掴む。


「オレが探してくる」

低い声。


「だから今は、ここを頼む」

その目は真剣だった。

ティファを置いて行きたいわけではない。


けれど、今ここで感情のまま動く方が危険だと分かっている目だった。

ティファは唇を噛み締める。

行きたい。
助けに行きたい。

けれど。

背後では、負傷した船員達が震えている。

船はまだ、海の上にある。

ティファは震える息を吐いた。

そして、小さく頷いた。


「……分かったわ」

ラビの瞳が、僅かに揺れる。

「必ず、見つけて」
「当たり前さ」

ラビは短く答え、次の瞬間には鉄槌を振り上げていた。


「伸!」

槌が一気に伸び、空へ向かって道を作る。

ラビの身体が甲板を離れた。

ティファはその背中を見上げる。

喉の奥で、ニルヴァーナがまだ震えていた。


けれど今は、歌わなければならない。

この船を、沈ませないために。
アレンとリナリーが戻る場所を、守るために。

それから、しばらくして。

船員達を鎮めるための歌を終えたティファは、甲板へ膝をついていた。

ニルヴァーナが、激しく脈打っている。

苦しい。
息が浅い。


「ティファ!」

クロウリーが慌てて駆け寄る。


けれど、ティファはすぐに返事が出来なかった。
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