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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第34章 【第二十九話】白光の行方


まるで、あの光の先で、何か取り返しのつかないことが起きようとしているみたいに。


「ティファ!」

ラビの声に、はっとする。

目の前へ迫っていたAKUMAを、ラビの槌が横から叩き飛ばした。


「余所見すんな!」
「……ごめんなさい」

ティファは二振りのレイピアを握り直し、甲板へ降り立ったAKUMAを斬り払った。

白銀の光が走る。
黒い装甲が砕け、AKUMAの残骸が海へ落ちていく。


やがて、船を襲っていた最後の一体が、ラビの槌によって海上へ叩き落とされた。

轟音。

黒い破片が波間へ沈み、ようやく甲板に静寂が戻る。

荒れた甲板。
焦げた帆。
倒れ込む船員達。

誰もが息を切らしていた。


けれど、ティファは空を見上げたまま動けなかった。

胸騒ぎが、まだ消えない。


「ティファ?」

ラビが眉を寄せる。

ティファは答えられなかった。

その時だった。


「ラビ! ティファ!」

声がした。

振り返った先に、リナリーがいた。

ボロボロの姿で、甲板へ戻ってきた彼女を見た瞬間、全員の顔色が変わる。


「リナリー!」

ティファは駆け寄った。


「大丈夫!? アレンは!?」

リナリーは息を切らし、激しく震えながら、必死にティファの袖を掴んだ。

声にならない。


けれど、その目は何かを訴えていた。

助けて、と。


「……来いってことか」

ラビの表情が変わる。

彼はすぐに鉄槌を握り直した。


「探してくる」
「待って、私も――」

ティファが反射的に前へ出ようとした瞬間、ラビに腕を掴まれた。


「駄目だ」

低い声だった。

いつになく強い声音に、ティファは息を呑む。


「ラビ……」
「オレが行く」

即答だった。

片方だけ覗く翠の瞳が、真っ直ぐティファを射抜く。


「お前は船に残れ」
「でも……!」

「船も限界なんだよ」

ラビの視線が、甲板を示す。
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