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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第34章 【第二十九話】白光の行方



「ティファ、下がれ!」

ラビが彼女の前へ出た。

その隙にも、アレンを掴んだAKUMAは黒い群れの中へ飛び込んでいく。


「アレン君!!」

次の瞬間。

リナリーの足元が光を帯びた。

黒い靴が解放され、彼女の身体が一気に空へ跳ぶ。


「リナリー!」

ティファの声は、風に攫われた。

リナリーは振り返らない。

アレンを連れ去ったAKUMAだけを追って、白い靄の向こうへ消えていく。

追わなければ。

そう思った。


けれど、甲板にはまだAKUMAがいる。

アニタが鋭く指示を飛ばし、マホジャが降り立ったAKUMAを叩き落とす。

船が大きく揺れた。

ここを捨てれば、この船が沈む。
この船が沈めば、江戸へ辿り着く道も消える。

ラビが一瞬だけ、ティファを見る。


「ティファ」

短い呼びかけだった。


けれど、それだけで十分だった。

ティファは震える息を吐いた。

白銀の光が、朝靄の中に走った。


「……分かっているわ」

今は、ここを守る。

アレンとリナリーを信じる。

ティファは空を見上げた。

黒い群れの向こうへ消えていく二人の姿は、もう見えない。

それでも。


「必ず、合流する」

小さく呟き、ティファは甲板へ降り立ったAKUMAへ向き直った。

船上では、なおも戦闘が続いていた。


ギィィィィィッ!!

別のAKUMAの群れが、船へ向かって急降下してくる。


「来ます!」

アニタの鋭い声が飛んだ。

マホジャが甲板を蹴り、巨大な拳でアニタに襲いかかった一体を叩き落とした。

ラビの鉄槌が空を裂き、AKUMAを海上へ吹き飛ばした。

クロウリーも牙を剥き、降り立ったAKUMAへ飛びかかる。


けれど、ティファは何度も空を見上げてしまっていた。

黒い群れの奥。

その向こうで、時折、白い閃光が爆ぜている。

どくん。
喉の奥で、ニルヴァーナが嫌な脈を打った。

嫌な予感が消えない。
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