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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第34章 【第二十九話】白光の行方



「……リナリー達に知られたら困るわ」
「知られないようにするさ」

「信用できない」

「ひでぇ」

軽いやり取りのあと、ティファは小さく息を吐いた。

これ以上押し問答をすれば、それこそ物音が漏れてしまうかもしれない。


何より、ラビの腕の中は、ひどく安心できた。

ティファは仕方なく、彼の胸元へ大人しく収まる。

ラビの腕が、壊れ物を包むように彼女を抱き締めた。

同じ部屋で眠る夜は、これが初めてではない。


けれど、ラビの腕の中で、こんなふうに心まで預けて眠るのは初めてだった。




夜明け前。

まだ花街の灯りが完全には消えきらない頃、ラビは先に目を覚ました。

腕の中で、ティファは静かに眠っている。

長い銀髪が枕の上へ零れ、寝衣の襟元から覗く肌に、障子越しの淡い光が落ちていた。

ラビはしばらく、その寝顔を見つめていた。

明け方には船が出る。

クロスの行方。
毒の海。
江戸。

考えなければならないことは、山ほどある。

それでも今だけは、腕の中の温もりを手放したくなかった。


「……戻んねぇと、まずいよな」

小さく呟いて、ラビはゆっくりと腕を解こうとした。

その時、ティファの指が、彼の袖を弱く掴む。


「……ラビ?」

寝起きの掠れた声。

ラビは動きを止め、すぐに表情を和らげた。


「悪ぃ。起こした?」

ティファは薄く目を開け、少しだけ首を横へ振る。


「……行くの?」
「そろそろな。さすがに朝までいたら、色々ごまかせねぇさ」

冗談めかした声だった。


けれど、笑いきれてはいなかった。

ティファは少しだけ目を伏せる。

昨夜のことを思い出したのか、頬に淡い熱が差した。

ラビはそれに気づいて、そっと彼女の髪を撫でる。


「……ティファ」
「ええ」

「後悔、してねぇ?」

問いかけは低く、慎重だった。

昨夜と同じように、彼は最後まで答えを急かさなかった。

ティファはラビを見上げる。
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