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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第33章 【第二十八話後R18】灯籠の下、すべてを暴いて



けれど、慰めるためだけの甘い響きではない。

まっすぐに、ティファの奥へ届く声。


「痛かったことも、怖かったことも、無かったことにして綺麗だなんて言うつもりはねぇ」


ラビは、一度だけ苦しそうに息を吐いた。


「でも、それを見たからって、オレの気持ちが変わるわけないだろ」

 
ティファは何も言えなかった。


天青楼では、誰かの目を惹くために纏った衣だった。
知らない男達の視線を受けることを覚悟して、座敷へ出た。

けれど今は違う。

飾られた姿ではなく。
傷も、弱さも、隠していたものまで含めた自分を、ラビに見られることが怖かった。


「……思っていたのと、違うって……思わない?」


掠れた声で尋ねる。

ラビの眉が、僅かに寄った。

まるで、その問いを口にさせてしまったこと自体が痛いみたいに。


「思うわけねぇだろ」


低い声だった。


「お前がどんな傷を負ってても、オレにとってはティファさ」


ラビが、ほんの少し身を寄せる。
けれど、触れる寸前で止まった。


「……見られたくないなら、見ねぇ」


静かな声。


「隠したいなら、無理に見せなくていい」


翠の瞳が、真っ直ぐティファを見つめる。


「でも、オレに見られることを怖がんなくていい」


胸の奥で、張り詰めていたものが、ゆっくりほどけていく。

ティファは伏せていた視線を上げた。


「……ラビになら」


それ以上は、上手く言葉にならなかった。

けれど、ラビには届いたらしい。
翠の瞳が、熱を帯びながらも柔らかく細められる。


「……ありがとな」


どうして彼の方が礼を言うのか分からなくて、胸がまた痛くなる。


次の口付けは、ひどく優しかった。

唇を重ねながら、ラビの指が再び帯へ掛かる。

今度こそ、結び目が静かにほどかれていく。


重たかった帯が緩み、腰から外される。
黒紫の布が、僅かに形を失った。

その途端、急に心許なくなって、ティファは無意識に胸元を押さえた。
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