第33章 【第二十八話後R18】灯籠の下、すべてを暴いて
「自分でも、少し怖ぇくらい」
その言葉に、ティファの呼吸が揺れる。
ラビの手が、帯飾りへ触れた。
銀糸と紫の組紐で飾られた帯は、潜入のために整えられた華やかなものだった。
結び目が、ひとつずつ解かれていく。
かすかな布擦れの音が、静かな部屋へやけに大きく響いた。
ティファは、急に息が詰まった。
この衣を脱げば、隠れていたものまで見えてしまう。
AKUMAの爪に裂かれ、崩れた瓦礫に打ちつけられ、それでも生きて戻るたびに刻まれてきた傷跡。
飾り立てられた姿だけを見れば、綺麗に見えるのかもしれない。
けれど、その下にある自分は。
決して、綺麗なだけのものではない。
「……見ないで」
思わず、小さく零れた。
ラビの指が、ぴたりと止まる。
「……嫌か?」
すぐに返ってきた声には、熱よりも心配の方が強く滲んでいた。
ティファは慌てて首を横へ振る。
「違うの……」
声が、思ったより弱くなった。
「嫌じゃない。ラビに触れられるのが嫌なわけじゃないの」
「じゃあ……」
言い掛けたラビの声が、静かに途切れる。
ティファは、ほどけかけた衣の胸元へそっと指を添えた。
「……傷だらけだから」
ラビの瞳が、僅かに揺れた。
「服を着ていれば見えないけれど……身体には、たくさん傷が残ってる」
喉の奥が詰まる。
「今の格好なら、綺麗に見えるかもしれない。でも、脱いだら……きっと、思っているのとは違うわ」
最後の言葉は、ほとんど声にならなかった。
ラビは、すぐには何も言わなかった。
ただ、帯へ掛けていた手を静かに離し、代わりにティファの頬へ触れる。
「……ティファ」
低い声。
「オレが綺麗だと思ったのは、着物だけじゃねぇよ」
胸が、小さく震えた。
ラビの親指が、頬をそっと撫でる。
「傷があるなら、それもお前が生きて戻ってきた証だろ」
優しい声だった。