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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第32章 【第二十八話】赤い紐の先


触れ方は優しいのに、掌はひどく熱い。

その視線が、露わになった肩へ落ちる。

けれど、すぐには触れない。

触れたい衝動を堪えるように、指先だけが僅かに強張った。

「……誰にも見せたくなかった」

ぽつりと落ちた声に、ティファの胸が小さく跳ねる。

「任務だって分かってる。でも、あの店の中で誰かがこの姿のお前を見てたって思うと……嫌なんさ」

ラビは、自嘲するように笑った。

「格好悪ぃだろ」

「……そんなことない」

ティファは、小さく答えた。

ラビの瞳が、静かにこちらへ向く。

「私も……ラビにだけ、見てほしかった」

その声は、自分で思っていたよりずっと甘く震えていた。

ラビの瞳が、はっきりと揺れた。

次の瞬間、強く腕を引かれる。

抱き締められ、息が詰まった。

華やかな衣の上から、確かめるように背中を包まれる。

耳元へ落ちる息が、熱い。

「……ティファ」

名前を呼ばれただけで、胸の奥が甘く痛んだ。

「好きだ」

「私も……ラビが好き」

その言葉を聞いた瞬間、ラビの息が短く詰まった。

堪えていたものが、そこで切れたみたいに。

頬を包まれ、次の瞬間、唇が重なる。

最初は、触れるだけの優しい口付けだった。

けれど、離れたあとも互いに距離を取れなかった。

もう一度、重なる。

今度は少し深く。

ティファが無意識にラビの胸元へ指を掛けると、彼の息が小さく揺れた。

額へ。

頬へ。

瞼へ。

大切に確かめるみたいに、口付けが降りる。

天青楼で向けられた視線とは違う。

値踏みするためでも、奪うためでもない。

ラビの指先は、ティファが嫌がらないかを確かめるように、どこまでも慎重だった。
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