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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第31章 【第二十七話】黒檀の簪


通りの角から、ふわりと甘い湯気が流れてきた。

大きな蒸籠を幾つも積み上げた、小さな饅頭屋。

店先には、白く丸い饅頭が次々と並べられている。

クロウリーの足が、ぴたりと止まった。

「……とても、良い匂いがするのである」

「クロウリー……」

リナリーが困ったように声を掛ける。

けれど、責めるような響きではなかった。

長い移動と聞き込みで、皆の顔には明らかな疲労が滲んでいる。

ブックマンが低く息を吐いた。

「腹を空かせたままでは、頭も働かん。聞き込みを兼ねて、少し腹へ入れろ」

「本当であるか!」

クロウリーの顔が、ぱっと明るくなった。

その素直な反応に、リナリーの口元が少し緩む。

一行は、饅頭屋の軒先へ足を向けた。

「いらっしゃい。随分と珍しいお客さん達だねぇ」

店主が、蒸籠の蓋を開けながらこちらを見た。

白い湯気が一気に立ち昇る。

「旅の一座かい?」

「いえ、人を探しているんです」

アレンがすぐに答えた。

「数日前、この町へ赤い髪の外国人が来ませんでしたか。背が高くて、黒い外套を着ていて……」

「仮面で半分顔を覆ってて、酒と女が好きそうな男さ」

横からラビが付け足す。

アレンが勢いよく振り返った。

「ラビ!」

「いや、特徴は正確に伝えた方がいいだろ?」

クロスの人相を説明する度、どうしてこうなるのだろう。

ティファは思わず小さく息を吐いた。

店主は二人のやり取りを面白そうに眺めてから、顎へ手を添える。

「赤い髪の外国人ねぇ……」

アレンが身を乗り出す。
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