第31章 【第二十七話】黒檀の簪
やがて船は、細い桟橋へ着いた。
雨に濡れた木板を踏み、一行は順に陸へ上がる。
その時。
ざわり、と。
風もないのに、竹の奥が不自然に揺れた。
アレンの左目が反応する。
「AKUMAです」
次の瞬間、竹林の影から複数のAKUMAが飛び出してきた。
黒い弾丸が雨を裂き、地面へ突き刺さる。
「伏せてください!」
アレンが前へ出る。
イノセンスを発動し、こちらへ向かって飛んできた弾丸を弾いた。
ラビもすぐに大槌小槌を構える。
「一、二、三……六体!」
アレンの声と同時に、戦闘が始まった。
アレンは地面を蹴り、AKUMAを次々と叩き落とす。
ラビは槌を伸ばし、竹林の奥へ潜んだ敵を炙り出した。
雨の中、白い軌跡と赤い炎が交差する。
「劫火灰燼 火判!」
ラビの声と共に、炎が竹林の一角を飲み込んだ。
雨に触れた炎が白い蒸気を上げ、焦げた竹の匂いが辺りへ広がる。
戦闘が終わる頃には、道の上に黒い残骸と折れた竹だけが残っていた。
「……終わった?」
リナリーが周囲を見回す。
アレンは左目の反応を確かめるように目を伏せ、やがて小さく頷いた。
「はい。今のところ、近くに気配はありません」
張り詰めていた空気が、少しだけ緩む。
その時、リナリーの視線がアレンの左腕へ止まった。
「アレンくん。左腕、見せて」
アレンは一瞬だけ表情を強張らせた。
ティファも思わず、その腕へ視線を落とす。