第33章 【第二十八話後R18】灯籠の下、すべてを暴いて
静かな空間には、湯気がゆるやかに立ち上り、木の香りが漂っていた。
立派な湯船には、温かな湯がなみなみと張られている。
二人は身体を清めたあと、ゆっくりと湯へ身を沈めた。
ほっと息が零れる。
張り詰めていた身体から、少しずつ力が抜けていくのが分かった。
ラビはティファのすぐ後ろから、湯船の中へと身体を滑り込ませていた。
湯の温かさが、強張っていたティファの腰の筋肉をじんわりと解きほぐしていく。
あまりの心地よさにティファが小さく息を吐き、彼の広い胸に背中を預けた時だった。
ラビの腕が、湯の中で自然にお腹のあたりに回され、愛おしそうにきゅっと引き寄せられる。
背中に密着する彼の肌の熱さが、お湯の中でいっそう生々しく伝わってきた。
ティファは首だけを少し後ろへ振り、至近距離にある彼の端整な顔を、じっと見つめた。
「……ラビ」
「ん? なんさ?」
「湯船の中では……、もう絶対、変なことしないでよ? 」
少しだけ不満げに眉をひそめ、真面目な口調で釘を刺す。
その言葉に、ラビは一瞬だけ驚いたように瞳を丸め、それから観念したようにハハ、と低く笑った。
彼はティファの濡れた銀髪を後ろへと優しくかき分けると、剥き出しになった白い首筋に、ちゅ、と小さく、今度は本当に悪戯のない口付けを落とした。
「分かってるって。これ以上いじめたら、明日本気で怒られそうだしな。……今は大人しく、あったまるだけにしとくさ」
彼の腕の力が少しだけ緩められ、優しく包み込むような抱擁へと変わる。
灯籠の明かりが微かに届く湯殿の中、湯気の向こうで交わされる二人の呼吸は、どこまでも甘く、静かに重なり合っていた。
長い夜の喧騒は完全に遠ざかり、今はただ、互いの肌が伝える優しい体温だけが、二人の間に満ちていた。