第30章 【第二十六話】灯籠の湖
師匠。
酒と煙草の匂いを纏い、いつだって勝手で、無責任で。
それでも、私とアレンを拾い、戦う道へ導いた人。
「君達には、クロス元帥の捜索へ向かってもらいたい」
コムイさんの視線が、私達を順に巡る。
「同行者は、アレン君、リナリー、ラビ、ブックマン、クロウリー。そして、ティファちゃん」
自分の名を聞き、私は静かに背筋を伸ばした。
「クロス元帥と合流出来た場合は、そのまま護衛任務へ移行してもらう。敵が既に元帥を追っている可能性もある以上、見つけて終わりではない」
「……承知しました」
アレンが最初に答えた。
声は静かだったが、迷いはなかった。
リナリーも頷く。
「えぇ。元帥を、このまま一人には出来ないわね」
「吾輩も尽力するのである!」
クロウリーが拳を握る。
ラビは椅子へ浅く凭れたまま、息を吐いた。
「クロス元帥捜しかぁ。相当、骨が折れそうさ」
軽い口調ではあった。
けれど、その翠の瞳は少しも笑っていなかった。
「今回に限っては、少しだけ手掛かりがある」
コムイさんは、アレンの肩にいるティムキャンピーへ視線を向けた。
「ティムキャンピーは、クロス元帥が自ら造ったゴーレムだ。主であるクロス元帥の痕跡や気配を辿れる可能性がある」
ティムが、任せろと言うみたいに小さく羽を鳴らす。
「……つまり、ティムが師匠の居場所を辿れるんですか?」
「そういうこと。それに、今回は君とティファちゃんもいる。クロス元帥と長く旅をしていた君達なら、あの人の行動パターンも、立ち寄りそうな場所も読めるだろう?」