第30章 【第二十六話】灯籠の湖
執務室へ入ると、既にアレンとリナリー、クロウリーが揃っていた。
アレンの肩では、ティムキャンピーが落ち着かない様子で羽を動かしている。
リナリーは不安そうに両手を重ね、クロウリーも緊張した面持ちで椅子へ浅く腰掛けていた。
全員が揃ったのを確認すると、コムイさんは机の前へ立った。
「……まず、君達へ伝えなければならないことがある」
部屋の空気が張り詰める。
「ケビン・イェガー元帥が……殉職した」
呼吸が止まった。
リナリーが小さく息を呑む。
クロウリーの顔から、血の気が引く。
アレンは何も言わず、固く拳を握り締めた。
「……元帥が?」
掠れた声が、自分の口から零れた。
コムイさんは重く頷く。
「千年伯爵側の襲撃によるものだ。イェガー元帥が最期に残した情報から、伯爵が“ハート”を捜している可能性が高まった」
ハート。
その言葉に、部屋の空気がさらに重くなる。
「伯爵側が、他の元帥達を狙う危険性もある」
コムイさんは資料を広げた。
複数の元帥の名。
そして、その中の一つ。
クロス・マリアン元帥――所在不明。
その文字を見た瞬間、胸の奥が強くざわめいた。