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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第29章 【幕間】月影の楽園 後日談 ―帰る場所


Side:ティファ

微かな寝息で、目が覚めた。

薄暗い部屋。

カーテンの隙間から、淡い朝の光が差し込んでいる。

私はぼんやり瞬きを繰り返したあと、違和感に気付いた。

……近い。

視線を上げる。

目の前には、ラビの寝顔があった。

至近距離。

翡翠色の瞳は閉じられ、長い睫毛が静かな影を落としている。

どうやら、私はいつの間にかラビの胸元へ擦り寄ったまま眠っていたらしい。

しかも。

ラビの腕が、しっかり私の腰へ回っていた。

「……」

一気に意識が覚醒する。

顔が熱い。

けれど、起こしたくなくて動けない。

私は小さく息を呑みながら、そっとラビを見上げた。

寝顔は、驚くほど穏やかだった。

普段の軽薄そうな笑みも。

ブックマンとしての鋭さもない。

安心し切った顔。

胸の奥が、じんわり温かくなる。

その時。

「……そんな見られると照れるんだけど」

掠れた声。

私はびくりと肩を揺らした。

いつの間にか、ラビが薄く目を開けている。

翡翠色の瞳が、眠たそうにこちらを見ていた。

「お、おはよう……」

「おはよ」

低く、まだ寝起きの声。

ラビは小さく笑うと、そのまま腰へ回した腕へ少し力を込めた。

距離が、さらに近くなる。

「ら、ラビ」

「んー?」

完全に寝惚けている声だった。

けれど。

抱き締める力だけは、妙にしっかりしている。

私は逃げるように視線を逸らした。

その瞬間。

ラビが、私の肩口へ額を擦り寄せる。

「……まだ起きたくねぇ」

くぐもった声。

その甘え方に、思わず笑ってしまう。
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