第29章 【幕間】月影の楽園 後日談 ―帰る場所
Side:ラビ
「……寝た」
ラビは小さく息を吐いた。
膝へ寝転んだまま、眠るティファを見上げる。
長い銀髪。
穏やかな寝息。
無防備な寝顔。
さっきまであんなに赤くなっていたくせに、今は完全に気が抜けている。
ラビは少しだけ困ったように笑った。
「……無防備過ぎさ」
そう呟きながら上体を起こし、そっと身体を抱き上げる。
軽い。
細い身体が腕の中へ収まる。
ティファは小さく眉を動かしたあと、安心したみたいにラビの胸元へ顔を寄せた。
その仕草に、ラビの心臓が大きく跳ねる。
「……勘弁して」
掠れた声が零れる。
けれど、困ったように笑いながら、そのままベッドへティファを寝かせた。
白いシーツへ銀髪が広がる。
ラビはベッド脇へ腰を下ろし、しばらく黙ってその寝顔を見つめていた。
戦って。
傷付いて。
それでも、こうして自分の前で安心して眠っている。
胸の奥が、少しだけ熱くなる。
ラビはそっと前髪へ触れた。
「……おやすみ」
小さく呟いてから、自分も隣へ横になる。
ティファが眠ったまま、無意識みたいに少し擦り寄ってきた。
ラビは思わず目を瞬かせる。
それから、観念したみたいに小さく笑った。
「ほんと、敵わねぇさ」
そのまま目を閉じる。
静かな夜だった。