第29章 【幕間】月影の楽園 後日談 ―帰る場所
静かな時間だった。
窓の外では、教団の夜風がカーテンを揺らしている。
ラビは目を閉じたまま、小さく息を吐いた。
「……落ち着く」
掠れた声。
その呼吸が、少しずつ穏やかになっていく。
私は髪を撫でながら、ぼんやりその顔を見下ろしていた。
温かい。
そう思った瞬間、不意に強い眠気が落ちてくる。
ここ数日の疲労が、一気に押し寄せてきたみたいだった。
「……ティファ?」
遠くでラビの声がする。
けれど、上手く返事が出来ない。
「ちょ、待っ……ほんとに寝るん?」
少し困ったみたいな声。
私は薄く目を開ける。
「……ん……」
もう限界だった。
そのままソファへ凭れた瞬間、意識がゆっくり沈んでいった。