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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第28章 【幕間】神田/月影の楽園 後編


その時だった。

「へぇ?」

不意に、聞き慣れた声が落ちる。

心臓が大きく跳ねた。

顔を上げる。

鮮やかな赤茶色の髪。

首元には、橙色のマフラー。

ラビが、少し離れた場所からこちらを見ていた。

「ラビ……任務、戻ってたの?」

「ついさっきな」

ラビは軽く笑いながら歩み寄ってくる。

その翠の瞳が、私と神田の席、そして私の前へ置かれたざる蕎麦へゆっくり落ちた。

「で?」

首を傾げる。

「何、その組み合わせ」

軽い声。

けれど、その瞳だけが妙に鋭い。

向かい側で、神田の箸が僅かに止まった。

「……うるせぇ」

「いやぁ、だってユウが誰かと飯食ってんの、珍し過ぎんだろ」

ラビは笑いながら、当然みたいに私の隣へ立つ。

神田の眉間へ、露骨に皺が寄った。

「騒ぐなら他でやれ」

「冷たっ。せっかく任務から帰って来た友人に向かってさぁ」

「誰が友人だ」

ラビはわざとらしく肩を落とし、それから私を見る。

「ティファ、ユウと一緒だったん?」

「ええ。誘われたの」

答えた瞬間。

ラビの笑みが、ほんの一瞬だけ止まった。

「……へぇ」

短い声。

私は小さく首を傾げる。

「何?」

「いや?」

ラビはすぐ、いつもの軽い笑みに戻った。

けれど、片方だけ覗く翠の瞳は、静かに神田を見ている。

「ユウが自分から誘ったん?」

「だから何だ」

神田が低く返す。

「別にぃ?」

ラビは口元を笑わせたまま、目を細める。

「珍しいこともあるもんだなーと」

神田は答えなかった。

ただ、不機嫌そうに蕎麦へ箸を伸ばす。

私は二人の間へ流れる空気が少しだけ張り詰めた気がして、思わず視線を行き来させた。

「……どうしたの?」

「何でもないさ」

ラビはすぐ、いつもの軽い笑みに戻った。

「ティファ、蕎麦初めて?」

「ええ。神田に食べ方を教えてもらったの」

言った瞬間。

神田の眉がぴくりと動いた。

「……余計なこと言うな」

「事実でしょ?」

「黙って食え」

低い声。

けれど、どこか居心地が悪そうだった。
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