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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第28章 【幕間】神田/月影の楽園 後編


神田が地面を蹴る。

轟音。

六幻の斬撃が、水路を一直線に裂いた。

黒い腕が、一瞬で吹き飛ぶ。

サフィアの身体も大きく裂け、水面へ叩き付けられた。

けれど。

サフィアは水面へ沈みながらも、くすくす笑っていた。

『ねぇ、ユウ』

水の中から声が響く。

『本当は、あなたも終わりたいのでしょう?』

その瞬間。

神田の動きが、ぴたりと止まる。

『ずっと苦しいまま、生きているものね』

『あの子を置いて』

『一人だけ残って』

『まだ、生きている』

地下水路が、静まり返った。

神田は背を向けたまま動かない。

六幻を握る手だけが、強く軋んでいた。

その時だった。

どくん、と。

『ニルヴァーナ』が、強く脈打つ。

今までよりも深く、何かが流れ込んでくる。

白い部屋。
薬品の匂い。
血に濡れた床。
黒い髪の子。

けれど、今度のその子は、神田を責めていなかった。

苦しそうに息をしながら。

震える手を伸ばしながら。

ただ、神田を呼んでいた。

『ユウ……』

掠れた声。

恨みでも。

憎しみでもない。

それは、死へ引きずり込む声ではなかった。

「……神田!」

私は反射的に叫んでいた。

神田の肩が、僅かに揺れる。

「違う……!」

地下水路へ、声が響く。

サフィアの笑みが、ぴたりと止まった。

私は荒い呼吸のまま、神田の背中を見る。

「あなたに聞こえている声は、サフィアが歪めているものよ」

水音だけが、遠く響いていた。

神田の指先が、僅かに強張る。
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