第28章 【幕間】神田/月影の楽園 後編
「ヒャハハハハ!」
甲高い笑い声が、夜の路地へ響いた。
ナジームが息を呑む。
「こんな近くに……!」
神田は即座に六幻へ手を掛ける。
だが、その瞬間。
地下の奥から、再び鈴の音が響いた。
しゃらり、と。
――ユウ。
甘い声。
神田の指先が、ほんの僅かに止まる。
その一瞬で十分だった。
一体のAKUMAが砲口を開く。
黒い弾丸が、真っ直ぐ神田へ向けて放たれた。
「神田!」
私は地面を蹴った。
喉の奥で『ニルヴァーナ』が熱を帯びる。
白銀の光が両手へ流れ、二振りの細い刃を形作った。
光のレイピア。
私は神田の前へ滑り込み、右手の刃で黒い弾丸を裂く。
砕けた弾が、黒い霧となって空中へ散った。
そのまま左手を振るう。
鋭い光の軌跡が、AKUMAの胴体を横へ裂いた。
「ギャッ――」
悲鳴が途切れる。
爆ぜる前に、私はもう次へ踏み込んでいた。
一体目を足場に距離を詰め、二体目の砲口が開くより早く、喉元へ刃を突き立てる。
白銀の光が、内部から弾けた。
「っ、まだ……!」
背後で三体目が砲口を向ける。
私は身体を捻った。
外套の裾が翻り、黒い弾丸が頬のすぐ横を通り過ぎる。
熱を帯びた風が、肌を焼くように掠めた。
けれど、止まらない。
「ニルヴァーナ――光槍!」
短い祈りのように言葉を落とす。
足元の石畳から、白銀の槍が突き上がった。
一本。
二本。
三本。
光の槍は、地下入口へ群がるAKUMAを縫い止めるように貫いた。