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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第27章 【幕間】神田/月影の楽園 前編


廊下へ出ると、窓の外はすっかり夕暮れへ染まり始めている。

赤い光が、石床へ長く差し込んでいた。

私は小さく息を吐く。

その時。

「おい」

背後から低い声が落ちた。

振り返ると、神田が数歩後ろへ立っている。

相変わらず不機嫌そうな顔。

けれど今日は、いつもより少しだけ苛立ちが強いように見えた。

「何?」

神田は数秒黙ったあと、小さく舌打ちする。

「……無理に潜るな」

私は小さく瞬きをした。

「潜る?」

「お前の力だ。引っ張られやすいんだろ」

静かな廊下へ、沈黙が落ちる。

神田は視線を合わせないまま、吐き捨てるように続けた。

「助けようとして、飲まれんな」

胸の奥が、僅かに揺れる。

「……心配してくれてるの?」

思わず聞いた。

その瞬間、神田の眉間へさらに深い皺が寄った。

「違ぇ」

「でも――」

「面倒が増えるのが嫌なだけだ」

被せるような声だった。

それだけ言うと、神田は私を追い越し、そのまま歩き出してしまう。

私はその背中を見送りながら、小さく息を吐いた。

ぶっきらぼうで。

説明不足で。

でも、放っておけない時だけは、必ず手を伸ばしてくれる。

「……本当に、不器用ね」

小さく呟く。

神田は聞こえていなかったのか、振り返らなかった。

けれど、夕陽に伸びたその背中が、何故か妙に胸へ残った。
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