第27章 【幕間】神田/月影の楽園 前編
「出発は明朝。移動手段と、現地ファインダーとの合流地点はそこに入っている。歓楽街側にも既にファインダーを潜入させてあるから、まずは彼と合流して情報を集めてほしい」
私は封筒を受け取り、小さく頷く。
「分かったわ」
「……回りくどい」
神田が露骨に顔をしかめる。
「暴れたら、歓楽街ごと壊しかねないもの」
「壊す前に片付けりゃいいだろ」
即答だった。
「もう……」
呆れ混じりに息を吐くと、神田が不機嫌そうにこちらを見る。
「何だ」
「別に」
私が肩を竦めると、神田は小さく舌打ちした。
コムイさんはそんな私達を見て、どこか疲れたように笑う。
「現地で喧嘩しないようにね」
「誰が」
「する訳ないじゃない」
私と神田の声が、ほとんど同時に重なった。
一瞬の沈黙。
コムイさんが吹き出す。
私は思わず顔を逸らした。
神田は露骨に不機嫌そうな顔をしたまま、低く舌打ちする。
「……チッ」
けれど、その空気はほんの少しだけ軽かった。
嫌な予感は、消えないままだったけれど。
私は資料を抱え直し、執務室を後にした。