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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第26章 【第二十五話】終幕なき夜・後編


胸が、小さく跳ねた。

ラビにも。
アレンにも。

似たようなことを言われた。

けれど、神田の声は彼らとは違う。

優しく諭すわけでもなく。
心配だと素直に告げるわけでもなく。

ただ、苛立ちを押し殺すみたいな低い声だった。

「でも、今日は必要だった」

「知ってる」

「なら――」

「知ってても、見てて気分悪ぃんだよ」

言葉を遮るように、神田が低く吐き捨てた。

私は息を止める。

神田はそこで初めて、こちらを見た。

鋭い目。

いつも通り、冷たくて不機嫌そうな目。

けれど、その奥にあるものが何なのか、私には分からなかった。

「血ぃ流して、それでも平気な顔して前出るな」

静かな声。

「……見てる方が、鬱陶しい」

胸の奥が、僅かに揺れる。

「神田……」

けれど彼は、それ以上何も言わなかった。

ふいと顔を背け、再び窓の外へ視線を戻す。

「寝ろ。着くまでまだ掛かる」

会話は終わりだと言うみたいな声。

私はしばらく神田の横顔を見ていた。

何故、そこまで苛立っているのだろう。

私が無茶をしたから。
仲間として、迷惑を掛けられたくないから。

きっと、それだけだ。

そう思いながら、私は小さく息を吐いた。

「……分かったわ」

座席へ身体を預け、目を閉じる。

戦いの疲労が、一気に身体へ押し寄せてきた。

薄れていく意識の中で。

汽車が大きく揺れた。

身体が僅かに傾く。

その瞬間、額が硬いものへぶつかる前に、何かがそっと支えた気がした。

「……ったく」

低い、聞き慣れた声。

けれど、もう目を開ける力は残っていなかった。
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