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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第26章 【第二十五話】終幕なき夜・後編


教団へ戻る汽車は、夜の闇を静かに走っていた。

規則的な揺れ。

窓の外を流れていく、黒い景色。

トマは報告書をまとめるため、隣の個室へ移っている。

再び、室内には私と神田だけが残っていた。

私は窓際へ座り、そっと息を吐く。

団服へ着替えたはずなのに、まだ肩の辺りへ神田の団服の重みが残っている気がした。

寒さを遮ってくれた厚い生地。

引き寄せられた時の、強い腕。

あまりにも反射的な動きだったから、深い意味なんてないのだろう。

神田は仲間が危険なら、同じように助けるに違いない。

そう思うのに。

「……」

向かい側へ視線を向ける。

神田は窓の外を見たまま、何も話さない。

いつも無口な人ではある。

けれど今日は、普段以上に機嫌が悪そうだった。

「……神田」

呼び掛ける。

「何だ」

短い返事。

「怒ってる?」

「別に」

「でも、さっきからずっと怖い顔してる」

「元からだ」

即答だった。

私は思わず小さく笑ってしまう。

「自覚あるのね」

「うるせぇ」

いつもの返し。

少しだけ、空気が和らいだ気がした。

私は窓へ視線を戻す。

暗い景色が、後ろへ流れていく。

「……今日は、ありがとう」

静かに言った。

「舞台でも、外でも。神田がいてくれて助かったわ」

返事はすぐには来なかった。

汽車の音だけが、長く二人の間を流れる。

やがて。

「……お前は」

低い声。

私は振り返る。

神田は窓の外を見たままだった。

「……何?」

「自分のこと、後回しにし過ぎだ」
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