• テキストサイズ

【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第26章 【第二十五話】終幕なき夜・後編


Side:ティファ

次に目を覚ました時、窓の外は白み始めていた。

汽車は、教団へ向かう線路を静かに走り続けている。

私はぼんやり瞬きをして、それから気付いた。

頭の横に、丸められた黒い布が置かれている。

神田が羽織っていた団服だった。

眠っている間に、窓枠へ頭をぶつけないよう置かれたらしい。

私は小さく目を見開く。

向かい側を見る。

神田は腕を組んだまま、目を閉じていた。

眠っているのか、それとも眠ったふりをしているのかは分からない。

「……不器用」

思わず、小さく呟く。

その瞬間。

「聞こえてんぞ」

低い声が飛んできた。

私はびくりと肩を揺らした。

神田は目を閉じたままだ。

「起きてたの?」

「今起きた」

「絶対嘘ね」

「うるせぇ」

いつものぶっきらぼうな返事。

私は思わず笑ってしまう。

神田は、もう何も言わなかった。

ただ、ほんの一瞬だけ目を開け、こちらを見る。

その視線は、すぐに逸らされた。

けれど。

何故だろう。

昨日までの神田と、ほんの少しだけ違って見えた。

劇場で、私の前へ立った背中。

路地裏で、反射的に私を抱き寄せた腕。

傷を見た時の、ひどく苛立った顔。

そして、先ほどの言葉。

――見てる方が、鬱陶しい。

私はその意味を考えかけて、けれど答えを見つけられないまま、そっと窓の外へ視線を向けた。

汽車は、朝靄の中を静かに走り続けていた。
/ 597ページ  
※結果は非表示に設定されています
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp