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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第26章 【第二十五話】終幕なき夜・後編


さらに、遠い記憶が胸の奥で揺れる。

白い寝台。

病に蝕まれ、ゆっくり冷たくなっていく父の手。

幼い私は、母の服を握り締め、泣きながら縋った。

――もう一度、お父さんに会いたい。

母は、涙を堪えるように目を伏せたまま、静かに首を横へ振った。

――死者を無理に繋ぎ止めてはいけないの。

――あの人は、もう眠る時なのよ。

あの時の私は、その意味が分からなかった。

別れは、ただ奪われるものだと思っていた。

けれど今なら分かる。

父は、消えたのではない。

母の歌に導かれて、あるべき場所へ還ったのだ。

だから。

私は、目の前の男を見据えた。

「でも、その痛みを利用して命を捨てさせるなら――それは愛じゃないわ」

静寂。

「残された者が、苦しくても明日へ進むこと」

レイピアを握る手へ、力が籠もる。

「その足を支えるものこそ、愛よ」

支配人の顔が歪む。

「綺麗事を……!」

「綺麗事で結構よ」

私は静かに返した。

「あなたの舞台よりは、ずっと人を救える」

その時。

舞台袖から、複数の足音が響いた。

白いファインダーコートを纏ったトマと、現地で待機していたファインダー達だった。

「支配人の身柄はこちらで確保します」

トマが静かに告げる。
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