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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第26章 【第二十五話】終幕なき夜・後編


私は少しだけ目を瞬く。

「何が?」

「……何でもねぇ」

ぶっきらぼうな声。

けれど、神田の眉間の皺は消えなかった。

私は思わず小さく笑う。

「そんな怖い顔しなくても大丈夫よ」

「誰もしてねぇ」

即答だった。

「してるわよ。今にも劇場ごと斬りそうな顔」

「斬って済むなら、とっくにやってる」

その返答に、私は少しだけ笑みを収める。

確かに、今回の任務はただAKUMAを倒せば終わるものではない。

観客達へ絡み付いた、死者への偽りの誘い。

その黒い糸を断たない限り、また同じ悲劇は繰り返される。

神田も、それは理解しているのだろう。

だからこそ、苛立っている。

そう思った。

「……足引っ張んなよ」

低い声。

私は小さく肩を竦めた。

「あなたこそ」

神田は鼻を鳴らし、扉の前へ向かう。

「行くぞ」

私は最後に鏡の中の自分を見つめた。

歌姫。
偽りの舞台。
死者を弄ぶ劇場。

胸の奥で、『ニルヴァーナ』が静かに熱を持った。

――止める。

決意を抱えたまま、私は神田と共に劇場へ向かった。
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