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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第25章 【第二十四話】終幕なき夜・前編


その時だった。

「ティファ」

低い声。

振り返る。

少し離れた場所に、ラビが立っていた。

いつもの軽い笑み。

けれど、片方だけ覗く翠の瞳は、全然笑っていない。

私は小さく息を呑む。

ラビはゆっくりこちらへ歩いて来た。

周囲には神田もトマもいる。

だからだろう。

私へ触れる代わりに、彼はほんの少しだけ距離を詰めるだけで止まった。

「……薬、持った?」

「持ったわ」

「傷、痛んだら我慢すんなよ」

「分かってる」

「あと、その……」

ラビの視線が、一瞬だけ私の荷物へ向く。

中に、あのドレスが入っていることを思い出したのだろう。

露骨に嫌そうな顔をする。

私は思わず小さく笑った。

「任務よ」

「分かってるさ」

低い声。

「分かってるけど、嫌なもんは嫌」

あまりにも素直な言い方に、胸が甘く疼く。

すると、隣で神田が舌打ちした。

「いつまでやってやがる。汽車が出るぞ」

「ユウはもうちょい恋人同士の別れを気遣えねぇの?」

「知らねぇ。置いてくぞ」

吐き捨てるように言い、神田は先に歩き出す。

けれど、その背中はいつも以上に苛立っているように見えた。

私は首を傾げかけたけれど、すぐにラビの声へ引き戻される。

「……ティファ」

低い声。

顔を上げる。

ラビは、引き止めたいのを堪えるような目で私を見ていた。
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