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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第25章 【第二十四話】終幕なき夜・前編


振り返る。

扉の隙間から顔を出したラビが、私を見つけてふっと笑った。

その手には、小さな包みが握られている。

「ラビ」

名前を呼んだ瞬間。

自分でも分かるくらい、声が柔らかくなる。

けれど次の瞬間。

彼の視線が、机の上の深紅のドレスへ落ちる。

ぴたり、と動きが止まった。

静寂。

「……は?」

低い声が落ちる。

空気が、僅かに冷えた気がした。

コムイさんの額へ、見る見るうちに汗が浮かぶ。

私は思わず視線を逸らした。

――絶対、面倒になる。

その確信だけは、やけに鮮明だった。

ラビはゆっくり部屋へ入ってくる。

包みを持ったまま、机の前で足を止めた。

「……それ、何」

「潜入任務用の衣装だよ、ラビ」

コムイさんが妙に明るい声で答える。

「ティファちゃんには、歌姫として劇場へ――」

「それ着んの?」

コムイさんの説明を完全に無視し、ラビが私を見る。

低い声。

私は小さく頷いた。

「潜入だもの」

するとラビは片手で顔を覆った。

「……いや、待て待て」

「何が?」

「絶対、男共寄ってくるだろ」

即答だった。

神田が小さく舌打ちする。

「任務だ。くだらねぇこと言ってんじゃねぇ」

「うっさいな、ユウ」

ラビが反射的に言い返す。

「恋人がそんな格好で潜入するとか、普通に心配だろ」

さらりと落ちた言葉に。

執務室の空気が、止まった。
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