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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第24章 【第二十三話】恋人になった朝、揺れる剣


木刀のぶつかり合う乾いた音が、広い空間へ響いている。

高い窓から差し込む淡い朝日が、石造りの床へ長く伸びていた。

冷えた空気。
汗と木の匂い。

久しぶりの鍛錬場の空気に、身体の奥が少しだけ引き締まる。

まだ本格的に右肩へ負担を掛けることは出来ない。

だから今日は、足運びと左手を中心にした軽い調整だけのつもりだった。

そう思いながら扉を開けた瞬間。

「……遅ぇ」

低い声が飛んできた。

振り返ると、神田が壁へ寄り掛かっていた。

木刀を肩へ担ぎ、不機嫌そうにこちらを見ている。

私は思わず瞬きをした。

「……居たの?」

「見りゃ分かるだろ」

即答だった。

「相変わらず愛想がないのね」

「喋りに来たんなら帰れ」

「鍛錬しに来たのよ」

そう言いながら、私は壁際に置かれていた細身の木剣を手に取る。

右肩を庇いながら軽く構えると、神田の眉が僅かに動いた。

「……怪我人が何してやがる」

「軽くなら許可は出てるわ」

「軽くで済む顔してねぇだろ」

「神田までラビみたいなこと言うのね」

何気なく零した言葉だった。

けれど、神田の表情がほんの一瞬だけ止まった。

「……あ?」

低い声。

僅かに刺の増した響きへ、私は不思議に思いながら首を振る。

「何でもない」

誤魔化すように木剣を構える。

「相手してくれる?」

神田はしばらく私を睨むみたいに見ていた。

やがて、小さく鼻を鳴らす。

「右肩使うな。踏み込みだけ見てやる」
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