第24章 【第二十三話】恋人になった朝、揺れる剣
「……傷、まだ痛む?」
低い声が、少しだけ真面目になった。
私は小さく首を振る。
「もう大丈夫。医療班からも、軽い運動なら許可をもらったわ」
「軽い、な」
念を押すように言われ、私は苦笑する。
「分かってる」
「お前の“分かってる”は、あんま信用ならねぇんだよなぁ」
「失礼ね」
「事実さ」
ラビは笑いながらも、最後まで私の右肩へ触れようとはしなかった。
そのさりげない優しさが、また胸へ残る。
恋人になったからといって、教団の日常が大きく変わるわけではない。
科学班は今日も騒がしく、コムイさんは相変わらず暴走している。
けれど、その変わらない日常の中で、私達だけが少しずつ変わっていった。
視線が合うだけで笑ってしまったり。
誰にも見えない場所で、そっと指先を重ねたり。
少しだけ増えた秘密を抱えたまま、日々は穏やかに流れていく。
そして、右肩の傷も軽い鍛錬なら許される程度に落ち着いた頃。
私は久しぶりに、鍛錬場へ足を運んだ。