第24章 【第二十三話】恋人になった朝、揺れる剣
恋人になった翌朝は、それだけで精一杯だった。
ラビと視線が合うだけで、昨夜のチャペルを思い出してしまう。
机の下で触れられた指先の熱は、食堂を出たあともずっと消えてくれなかった。
そして、アレンと交わした短い会話も、胸の奥へ静かに残っていた。
私が選んだことで、傷付いた人がいる。
その事実を、無かったことには出来ない。
それでも。
中途半端な優しさで、もう誰かの気持ちへ甘えることも出来なかった。
私はラビを選んだ。
その想いだけは、もう揺らがなかった。
それから数日が経つ頃には、ラビは以前よりずっと自然に私へ触れるようになっていた。
もともと距離感が近い人ではあったけれど、それとは少し違う。
まるで、触れていい理由を手に入れてしまったみたいに。
二人きりになれば、後ろから抱き締められることも増えた。
図書室の奥で本を探している時。
医療班での経過観察を終えて、部屋へ戻る途中。
人気のない回廊で、ふと足を止めた時。
振り返れば、いつの間にかラビの腕が腰へ回っている。
「……ラビ」
「んー?」
「重い」
「ひでぇ」
そう言いながらも離れる気配はなく、肩口へ額を預けてくる。
最初は驚いていた私も、今では少し慣れてしまった。
それでも。
耳元で名前を呼ばれる度に、胸の奥は落ち着かない。