第21章 【第二十話】残り香は、まだ熱い
翌朝。
薄い朝日が、カーテンの隙間から差し込んでいた。
私は重たい瞼をゆっくり開く。
「……ん……」
頭が少し痛い。
昨夜、歓迎会でかなり飲んだところまでは覚えている。
そこから先が、妙に曖昧だった。
私はぼんやり身体を起こし――そして固まる。
「……え?」
抱き締めるように、マフラーを握っていた。
オレンジ色の布地。
見覚えがある。
というか、あり過ぎる。
「……ラビの、よね……?」
私は瞬きを繰り返した。
どうしてこれが、自分のベッドにあるのか分からない。
しかも。
ほんのり、彼の匂いが残っている。
昨夜の記憶を辿ろうとしてみる。
歓迎会。
飲み比べ。
ラビの顔。
――酔ったティファ、可愛すぎて心臓に悪ぃ。
「っっっ!!?」
一気に顔が熱くなった。
そこから先が思い出せない。
なのに、胸だけが無駄にざわつく。
私はマフラーを抱えたまま、盛大に頭を抱えた。
「……私、昨日何したの……!?」
こんこん、と扉が鳴る。
私は、びくりと肩を跳ねさせた。
「ティファ? 起きてる?」
聞こえてきたのは、リナリーの声。
私は慌ててマフラーを背中側へ隠した。
「お、起きてるわ!」
「入っていい?」
「っ……ちょ、ちょっと待って!」
何をそんなに慌てているのか、自分でも分からない。
けれど、ラビのマフラーを抱えているところを見られるのは、妙にまずい気がした。