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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第21章 【第二十話】残り香は、まだ熱い


扉が静かに閉まる。

途端に、部屋の中が少しだけ広くなった気がした。

消毒液の匂い。

白いカーテンの揺れる音。

そして、目の前にいるラビの気配。

私は急に落ち着かなくなって、包帯の巻かれた肩へ視線を落とした。

「……もう大丈夫だから」

「分かってる」

意外なほどあっさり返されて、私は思わず顔を上げる。

ラビは小さく息を吐いた。

「でも、次はもうちょい自分のこと大事にしろよ」

低い声。

それだけだった。

責めるわけでも、引き止めるわけでもない。

だから余計に、胸の奥が落ち着かなくなる。

ラビはふいに、私の髪へ視線を移した。

「……髪、乱れてる」

「え?」

私が手を上げるより早く、ラビの指先が銀髪へ触れた。

絡まった一房を、ゆっくり梳くように整える。

その指が、ほんの一瞬だけ耳元を掠めた。

「っ……」

思わず肩が跳ねる。

ラビが喉の奥で笑った。

「……敏感」

ぼそり、と囁かれる。

顔が一気に熱くなった。

以前なら、こんな距離になる前に、ラビの方から一歩引いていたはずなのに。

「っ……ラビ!」

「んー?」

ラビの指は、まだ私の髪を離さなかった。

銀の一房をゆっくり掬い上げ、鼻先へ寄せる。

「いい匂いする」

低く落とされた声に、息が止まる。
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