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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第20章 【第十九話】もう譲れない


――ストラーイクッ!! もろタイプさ!

不意に、あの場違いな叫びが頭を過った。

エリアーデは確かに美しかった。

妖艶で、危うくて、誰かを狂わせるような美貌だった。

だからラビの反応だって、彼らしい軽口に過ぎない。

そんなこと、分かっている。

それに、こんな時に。

エリアーデが消え、クロウリーがあれほど泣いていた、その直後に。

ラビが彼女を綺麗だと思ったことへ胸をざらつかせている自分が、ひどく浅ましく思えた。

それでも、感情は消えてくれなかった。

「……寒ぃ?」

不意にラビが覗き込んでくる。

私は反射的に視線を逸らした。

「いいえ」

「……ティファ」

「何」

「何か避けてね?」

心臓が跳ねる。

私は唇を引き結んだ。

ラビはじっとこちらを見ている。

いつもの軽薄な笑みはなかった。

耐え切れなくなって、小さく息を吐く。

「……今は、少し一人で考えたいの」

その瞬間。

ラビの表情が、ほんの僅かに固まった。

けれど、私を支える腕は離れなかった。

「……考えんのは勝手だけど、今のお前を一人で歩かせる気はねぇさ」

低い声が、すぐ傍へ落ちる。

「診療所までは、このまま行く」

「……ええ」

それ以上、ラビは何も聞かなかった。

ただ、傷へ響かないよう歩幅を緩めながら、私を支え続けていた。

その優しさが、逆に苦しかった。
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