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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第20章 【第十九話】もう譲れない


古城を出た後。

夜風が頬を撫でた。

右肩の傷は焼けるように疼いている。

けれど、それ以上に苦しかったのは胸の奥だった。

もし。

私達がここへ来なければ。

クロウリーとエリアーデは、あの城で寄り添ったまま生きていけたのだろうか。

壊したのは、本当にAKUMAだけだったのだろうか。

答えの出ない感情が、重く胸へ沈んでいく。

そんな私を支えるように、ラビの腕がほんの少しだけ力を強めた。

「……あんま考え込み過ぎんなよ」

低い声。

私は視線を落としたまま、小さく息を吐く。

「……でも、私達が来たせいで、全部壊れたみたいだった」

ぽつりと零れた本音。

ラビは少しだけ黙った。

夜明け前の風が、静かに吹き抜けていく。

「壊れてたんさ、最初から」

やがて落ちた声は、思っていたより優しかった。

「クロちゃんも、エリアーデも」

私は唇を噛む。

ラビは前を向いたまま続けた。

「でも、クロちゃんがエリアーデ好きだった気持ちまで、嘘だったワケじゃねぇだろ」

胸が少しだけ痛む。

「……そうね」

「お前が歌ってやったから、あの人ちゃんと泣けたんだと思う」

思わずラビを見上げる。

ラビは照れ臭そうに頭を掻いた。

「だから、そんな顔すんな」

その声音があまりにも自然で。

優しくて。

胸の奥が、また落ち着かなくなる。
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