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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第20章 【第十九話】もう譲れない


病院へ着いた頃には、空が薄青く明るみ始めていた。

古びた小さな診療所。

消毒液の匂い。

静かな廊下。

私は治療台へ座らされ、医師に肩の傷を診られる。

裂傷は思った以上に深かったらしい。

包帯を巻かれるたび、焼けるような痛みが走った。

「しばらく右腕は無理するな」

医師にそう言われ、私は小さく頷く。

診察が終わる頃には、さすがに疲労が限界だった。

案内された小さな病室。

窓の外には雪が降り始めている。

私はベッドへ腰掛け、小さく息を吐いた。

静かだった。

静か過ぎるほどに。

クロウリーの泣き声。

エリアーデの最後の言葉。

アレンの叫び。

全部、まだ耳の奥へ残っている。

そして、あの場違いな「ストライク」の声まで。

私は顔を覆うように俯いた。

どうしてこんなに引っ掛かるのか、自分でも分からない。

ただ、怖かった。

クロウリーとエリアーデは、互いを求めた果てに壊れた。

もし。

自分も誰かへ執着してしまったら。

そんな考えが脳裏を過った。

こんこん、と扉が鳴る。

「……入るぜ」

低い声。

ラビだった。
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