第18章 【第十七話】歌声は吸血鬼を惑わせる~クロウリー編②
は震える指でレイピアを握り直し、静かに歌を紡ぎ始めた。
銀の髪が夜風へ揺れ、透明な歌声が墓地へ広がっていく。
その瞬間だった。
「っ……!」
クロウリーの動きが止まる。
紅い瞳が揺れ、頭を押さえて苦しそうに呻いた。
「な、なんだ……この声は……」
歌は、確かに届いていた。
クロウリーの中へ絡み付いていた狂気と恐怖が、少しずつ揺らいでいく。
エリアーデを守らなければ。
奪われてはいけない。
殺さなければ。
繰り返されていた衝動の奥から、別の感情が滲み出す。
迷い。
痛み。
そして、誰にも触れられずにいた孤独。
その様子を見た瞬間、エリアーデの表情が変わった。
紅い瞳に、露骨な焦りが浮かぶ。
「……やっぱり貴方、邪魔だわ」
低く呟いた次の瞬間、無数の食人花の蔓が一斉に私へ襲い掛かってきた。
「ティファ!!」
ラビが咄嗟に前へ出る。
巨大化した鉄槌が蔓を叩き潰し、墓地へ土煙が舞い上がった。
だが、その瞬間だった。
「エリアーデに触るなァァァ!!」
クロウリーが完全に暴走する。
轟音と共にラビへ飛び込み、大槌ごと吹き飛ばした。
「ラビ!」
私は思わず歌を止めそうになる。
「ティファ、続けて!!」
アレンの声が響いた。