第17章 【第十六話】吸血鬼退治と三人の距離~クロウリー編①
クロウリーが凄まじい勢いで城の奥へ逃げ去ったあと、中庭には妙な静寂が残っていた。
霧の向こうで、カラスが不吉に鳴いている。
そして、村人達は、じりじりと私達から距離を取っていた。
特に、噛まれたアレンから。
「…………」
「…………」
アレンは困ったように苦笑する。
「えっと……そんなに離れなくても」
「だ、大丈夫です!!」
村人達は全然大丈夫じゃなかった。
めちゃくちゃ離れている。
不自然なくらい。
その時、ラビが肩をすくめながらアレンの背中を軽く叩く。
「クロウリーに噛まれたお前が吸血鬼になると思ってるんさ」
「笑い事じゃないですよ!?」
「気にすんなって」
そう言うラビ。
しかし、その首には。
何故か大量のニンニク。
しかも、右手には木の杭。
沈黙。
私は目を瞬く。
「……ラビ」
「ん?」
「それ何」
ラビが手元を見る。
「護身用?」
「信じてるじゃない」
思わず呟く。
アレンもじとっとした目を向けた。
「さっきリナリーのこと笑ってましたよね?」
「いや、ほら、念の為?」
「しかもどこから持ってきたんですか」
「村人がくれた」
完全装備だった。
私はとうとう吹き出してしまう。
「ふふっ……」