第17章 【第十六話】吸血鬼退治と三人の距離~クロウリー編①
ラビはそんな私を見ると、小さく笑った。
その時、アレンがふと真顔になる。
「……そうだ」
銀白色の瞳が城の奥を見つめる。
「さっき襲われた村人のこともあります。急ぎましょう」
空気が変わる。
私も頷いた。
「えぇ。そうね」
ラビも鉄槌を肩へ担ぎ直す。
「クロス元帥の件もあるしな」
するとアレンが村長達へ振り返った。
「村長さん達は、ここで待っていてください」
優しい声音。
けれど。
村長ゲオルグはものすごい勢いで頷いた。
「もちろんです!!」
即答だった。
「え?」
アレンが目を瞬く。
村長は真顔で続ける。
「あんな化け物同士の戦いにいたら、人間の我々は死んでしまいますから!!」
沈黙。
「…………」
「…………」
「…………」
ラビが、ぽつりと呟いた。
「……オレらも化け物扱い?」
その声には、笑いきれない微妙な響きがあった。
アレンも自分の左手を見下ろして、ゆっくり瞬きをする。
「……あれ? なんか、すごく虚しい気分……」
私は、何も言えずに苦笑した。
その時。
ラビが不意に私の肩を引き寄せる。
「ティファ」
「うん?」
「絶対オレの側離れんなよ」
低い声。
いつもの軽口じゃない。
戦闘前の、本気の目だった。
私は小さく頷く。
「ええ」
するとラビが少しだけ安心したように笑った。
「よし」
その隣で、アレンがむっとした顔をする。
「……僕もいますからね?」
「アレンは噛まれてるから半分吸血鬼さ」
「違います!!」
けれど、アレンの声にも、ただの冗談では済まない真剣さが混じっていた。
ラビが前へ出る。
アレンが隣へ並ぶ。
二人の背中の向こうで、城の闇が揺れていた。