第17章 【第十六話】吸血鬼退治と三人の距離~クロウリー編①
私は思わず苦笑する。
「連絡もほとんど寄越さないものね」
「たまに来たと思ったら酒代のツケ押し付ける手紙とかですからね……」
アレンが遠い目をする。
ラビが吹き出した。
「クロス元帥、終わってんな」
「笑い事じゃありません」
即答。
その横顔には、呆れと諦めが滲んでいた。
けれど、その奥に、僅かな焦りも見える。
アレンはきっと分かっている。
クロス・マリアンがわざわざ痕跡を残す時は、大抵ろくでもない事態が起きている。
そして、自分は結局、放っておけないことも。
コムイさんが真っ直ぐ私達を見る。
「君達にはクロス元帥を探し出してほしいんだ」
アレンは一瞬だけ目を伏せ、それから静かに頷いた。
「……はい」
短い返事。
けれど、その声には迷いより先に、“行かなければならない”という想いが滲んでいた。
「ラビは記録任務を兼ねて同行。ティファちゃんには、アレンくんの左目が使えない今、感知能力による補助を頼みたい」
「承知しました」
私が頷くと、ラビも「了解」と軽く返した。
その時、不意にアレンがこちらを見る。
「ティファも一緒なんですね」
その声は、どこかほっとしたように聞こえた。
私は小さく微笑む。
「ええ。今度こそ、ちゃんと師匠を引っ張って帰りましょう」
アレンが苦笑する。
「それ、多分縛ってでも連れて帰らないと駄目ですよ」