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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第15章 【第十四話】言いかけた熱 


私はその意味を理解しかけて、喉が詰まった。

「……ラビ、それって」

ラビは、すぐには答えなかった。

薄暗い回廊へ、重たい沈黙が落ちる。

遠くで機械音だけが響いていた。

ラビは視線を逸らしたまま、小さく息を吐く。

逃げようとしているようには見えなかった。

ただ、言葉を選んでいるように見えた。

やがて、ゆっくり顔を上げる。

翠の瞳が、真っ直ぐこちらを見た。

その目に、もう逃げる気配はなかった。

胸が、大きく跳ねる。

ラビは数秒、黙ったまま私を見つめていた。

喉が、かすかに動く。

まるで、覚悟を決めるみたいに。

それから、声が落ちた。

「……オレは、お前が――」

その瞬間だった。

回廊の奥から、数人分の足音が近付いてきた。

書類を捲る音。

低く交わされる、科学班員たちの声。

「リーバー班長、こっちの数値も確認お願いします」

「ああ。あとで見る。先にラビを捕まえる」

聞き覚えのある声に、私は反射的に振り向いた。

角を曲がって現れたのは、リーバー班長だった。

片手には書類の束。

もう片方の手には、ラビのイノセンス検査に使うらしい器具の入った小さなケースを持っている。

その後ろには、タップと数人の科学班員の姿もあった。

リーバー班長は私達を見つけた瞬間、足を止める。

「……いた」

その声には、安堵よりも疲労の方が濃かった。

ラビの表情から、すっと色が消える。

「……げ」

「“げ”じゃない」

リーバー班長の眉間に皺が寄る。

「医務室から連絡が来てる。治療途中で抜け出したエクソシストがいるってな」
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