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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第15章 【第十四話】言いかけた熱 


ラビが露骨に視線を逸らした。

「……人違いじゃねぇの」

「包帯に血を滲ませてる時点で言い逃れできると思うな」

リーバー班長の視線が、ラビの右手へ落ちる。

私もつられて見てしまい、胸の奥がまたざわついた。

リーバー班長は小さく溜息を吐く。

「ラビ。イノセンスの状態確認だ。科学班へ来い」

「……今かよ」

「今だ」

即答だった。

「任務でかなり無茶したらしいな。火傷だけなら医療班で済むが、イノセンス側に負荷が出てる可能性がある」

リーバー班長は手元の書類を軽く持ち上げる。

「確認だけは受けろ」

ラビは小さく舌打ちした。

どうやら図星らしい。

後ろにいたタップが困ったように肩を竦める。

「ラビ、さっきからみんな探してたんだよ。ジョニーなんて書庫室まで見に行ってたし」

リーバー班長の声が少しだけ低くなる。

「無茶なエクソシストほど、後で科学班に捕まるんだ。いい加減覚えろ」

妙に慣れた声音だった。

私は思わず、少しだけ笑ってしまう。

けれど、すぐに口元を抑えた。

ラビはまだ、どこか言い足りなさそうな顔をしていた。

私を見る。

一瞬だけ。

さっきまでの言葉の続きを、そこへ残すみたいに。

けれど、リーバー班長が書類を軽く持ち直した。

「行くぞ」

「……はいはい」

ラビは観念したように息を吐く。

それでも、歩き出す前にもう一度だけ、私を見た。

今度も、何も言わなかった。

リーバー班長たちに促され、科学班フロアの奥へ歩いていく。

赤茶の髪が、薄暗い回廊の角に消える。

その背中を、しばらく見送っていた。

――オレは、お前が。

途中で途切れた言葉だけが、胸の奥へ静かに残っていた。

続きは、聞けなかった。

聞いてしまえば、きっと。

今までみたいに、隣で笑えなくなる。

そんな気がした。
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