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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第13章 【第十二話】記録に残らない熱


「ティファ!」

ラビの手が、今度ははっきり私の腕を掴んだ。

強い力。

「待て。誘い込まれてる可能性がある」

「分かってる」

腕へ触れる彼の手が、僅かに強張る。

私は少年から視線を逸らさなかった。

「でも、あの子は生きている」

「……生きてる?」

「魂だけじゃない。まだ身体がある。呼吸も、微かに感じる」

ニルヴァーナが、喉の奥で苦しげに震えている。

あの少年は、死者ではない。

ここへ閉じ込められた何かに、巻き込まれている。

記憶も。

存在も。

命さえも。

すべてを薄く削られながら、それでもまだ消え切らずに立っている。

「このままでは、あの子が消える」

ラビの指先が動く。

掴んでいた腕から、ゆっくりと力が抜けた。

けれど、彼は離れる代わりに、一歩前へ出た。

私と少年の間へ立つように。

「……歌えるか」

低い声だった。

私は僅かに目を見開く。

ラビは少年を見たまま続けた。

「お前があいつを繋ぎ止められるなら、やれ。周りはオレが見る」

その横顔は、もう迷っていなかった。

「ラビ……」

「ただし」

翠の瞳が、一瞬だけこちらへ向く。

「絶対、無茶すんな。少しでも変だと思ったら、すぐ止めろ」

言葉は任務上の指示のようだった。

けれど、声の奥に滲む硬さが、ただの慎重さだけではない気がした。

私は小さく頷く。

「ええ」

そして、少年へ向き直った。
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