第13章 【第十二話】記録に残らない熱
「数ヶ月前から、その周辺で行方不明者が相次いでいる。最初は事故や盗賊の被害とも考えられていたけれど、最近になって微弱なAKUMA反応が確認された」
リーバーさんが、別の書類をこちらへ差し出す。
「それだけじゃねぇ。現地へ入ったファインダーから、妙な報告が上がっている。距離の測定値が安定しない。音が途中で消える。目視した人影が、記録装置には残らない……とな」
紙面に並ぶ文字を追う指先が止まった。
胸の奥へ、冷たいものが沈んでいく。
音が消える。
記録に残らない。
存在そのものが、曖昧になる。
「……アンナの村と、似ている」
気付けば、そう呟いていた。
室内の空気が、静かに張り詰める。
ブックマンが、杖の先を床へ触れさせながら低く息を吐いた。
「儂も報告を読んだ。まだ同じ現象とは断定できん。だが、無関係と言い切るには類似点が多すぎる」
ラビが、机の端へ片手を置いた。
「現地へ入ったファインダーは?」
いつもの軽さを消した、低い声だった。
コムイさんの表情が僅かに曇る。
「先行して調査へ向かった二名が、昨日から消息を絶っている。最後の通信は、遊園地の正門へ到着したという報告だった。それ以降の連絡はない」